コモディティ投資を資源国株式で代用できるか検証(後編)【GSG/ILF/ERUS】

コモディティ投資を資源国株式で代用できるか検証(後編)【GSG/ILF/ERUS】

2021年2月24日

コモディティ投資を資源国株式で代用できるかをチャートと相関係数をもとに検証します。

前編はこちら↓

ハードルの高いコモディティ投資を資源国ETFを使うことで代用可能か検証する
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検証方法

比較には全てブラックロック社のETFを使用します。
使用するETFは以下の4つです。

・コモディティ 

GSG(iシェアーズ S&P GSCI コモディティ・インデックス・トラスト)

・資源国株式(エネルギー)

ERUS(iシェアーズ MSCI ロシアETF)

・資源国株式(畜産&農産物)

ILF(iシェアーズ ラテンアメリカ 40 ETF)

・比較用(S&P500)

IVV(iシェアーズ・コア S&P 500 ETF)

上記のETFのインデックスの価格推移のデータをブラックロック社サイトからダウンロードして、相関係数を算出します。

チャート比較

相関係数算の前にtradingviewでGSGと各ETFでチャートび相関係数の比較をします。

表の見方は、上側がGSGと他ETFの騰落率チャート比較、下側が相関係数の推移になります。

その前に相関係数の見方がわからないという方もいらっしゃると思うので以下に目安となる表を作成しました。

相関係数相関の強さ
0.7~1順相関(強)
0.4~0.7順相関(中)
0.2~0.4順相関(弱)
-0.2~0.2無相関
-0.4~-0.2逆相関(弱)
-0.7~-0.4逆相関(中)
-1~-0.7逆相関(強)
相関係数早見表

この表から資源国株式がコモディティ投資の代替になると言えるのは相関係数が最低でも0.4以上(順相関(中)以上)が必要だということがわかります。

それではチャートを比較していきます。

GSG vs ILF

GSG vs ILF

白線:GSG
赤線:ILF

ILFの値動きが非常に激しい(標準偏差:33.97)ですが全体の流れとしてはおおむね同じようです。
相関係数を見ても逆相関になっている期間はほとんどなく、有ったとしてもごく僅かです。

GSG vs IVV

GSG vs IVV

白線:GSG
青線:IVV

ご覧の通り、全く相関を感じられないチャートになっています。
IVVのベンチマークはS&P500すなわち米国株で、米国は資源国(原油生産量1位 etc)であるわけですがS&P500の構成比率の多くをハイテク企業が決めているせいで全く相関しないという結果になっています。
ここ10年の値動きは相関しないというか逆相関です。

少し話がずれますが、IVVが3倍以上になっているのにGSGは3分の1以下ですので明暗分かれたという感じですね。ここ10年の相場はコモディティ投資家にとっては地獄に見えたでしょう。

GSG vs ERUS

GSG vs RTS

白線:GSG
黄線:ERUS

※ERUSの期間がGSGよりも短い為、代わりにRTSIを指標にしています。RTSはロシアのS&P500みたいなもんだと思って下さい。

ja.wikipedia.org

ILFと同じく順相関です。値動きもマイルドな分、相関が強そうに見えます。
GSGはエネルギーの比率が半分を占めていますので産油国のロシアとは相関がより強くなっている可能性があります。

GSG構成比率

各ETFの相関係数を比較

GSG設定来からの相関係数比較

前置きが長くなりましたが本題に入ります。
各ETFを期間別で相関係数を算出し比較していきます。

下の表はGSG設定来(2006年7月11日)から現在(2021年2月19日)までの各インデックスの相関係数を表にまとめたものです。

相関係数相関の強さ
0.7~1順相関(強)
0.4~0.7順相関(中)
0.2~0.4順相関(弱)
-0.2~0.2無相関
-0.4~-0.2逆相関(弱)
-0.7~-0.4逆相関(中)
-1~-0.7逆相関(強)
相関係数早見表

この結果から

資源国株式はコモディティ投資の代替にはならないが株式の分散投資には使える

と私は結論づけました。

何故そう結論づけたかというと、IVVに対してGSGには明確に強い逆相関(-0.713)がみられるのに対して、ILFは弱い順相関(0.374)とERUSは無相関(0.189)になっているからです。

チャートで見ると結構相関しているように見えたのでこの結果は意外でした。

しかしながら、米国株(IVV)と比較するとILF、REUS共に無相関(-0.123と0.247)となっており、米国株に対しての分散投資先としては優れていることも判明しました。

これだけだと分析として物足りないので、期間別の相関係数も算出してみました。

5年間の相関係数比較

期間別にみるとコモディティと資源国株式は強い相関がある期間が存在するように見えます。
そして、コモディティが米国株と強い順相関を出している時期以外は資源国株式は米国株との相関はあまりないように見えます。
この傾向を考えると、資源国株式はコモディティの完全コピーとまではいかなくても、株式版コモディティくらいは名乗ってもよさそうです。

例えば2011年~2016年までの相関係数はその傾向が顕著で、GSGとIVVが強い逆相関(-0.738)の時にILFとERUSもIVVと強い逆相関(-0.752と-0.782)になっています。

最後に年別の相関係数見てみましょう

年別の相関係数比較

年別比較でも同様に(2013年や2014年の相関係数を見る限り)、資源国株式は米国株よりコモディティの相関が強いと言えます。

以上の分析結果を考慮すると

・米国株のリスクヘッジが欲しい
・コモディティ投資がよくわからない
・コモディティETFの経費率の高さが許容できない
・分配金が欲しい

・長期の下落に耐えられるメンタルがない

こういった方はコモディティ投資ではなく資源国株式に投資した方が良いと考えます。

逆に

・しっかりとリスク分散したい
・コモディティ投資の知識をそれなりに持っている
・CFDや先物取引をやっている
・高い経費率や分配金なしが気にならない
・自分の精神をコントロールできる

こういった方は代替ではなくコモディティ投資をやられた方が良いと考えます。

GSGの騰落率チャートを見てわかるようにここ十数年で70%も価格が下落しています。
ただその前の10年(コモディティバブル期)は何倍にも上昇していることを考えると、ロマンがあります。
そういったことからロマン砲投資の1つとして、リスクヘッジの1つとしてポートフォリオの一部に組み込む価値は十分にあるのでないかと感じてています。

※投資は自己責任でお願いいたします
※本記事作成の為、下調べやチェックを行っていますがデータに誤りがあったとしても責任を負うことはできません